秋葉原からほど近い、千代田区神田神保町にある1959年創業の老舗天丼専門店「いもや」、系列であるとんかつ専門店「いもや」が3月31日(土)をもって閉店した。
「いもや」は安さと美味さがウリの料理店。近隣には日本大学や専修大学など、大学キャンパスが多く、学生にもサラリーマンにも愛されるお店だった。閉店が発表されたのは、2月26日。この日も多くの客がお店を訪れていたが、店頭の戸に「閉店のご挨拶」の張り紙が貼られていた。
「“いもや”は昭和34年来の約60年に亘って、皆様にご愛顧いただきましたが、3月31日を持ちまして閉店することとなりました。
これまで、お客様には沢山のご来店やご支援を頂き、心より感謝申し上げます。本当に長い間ありがとうございました。皆様のご多幸をお祈り申し上げます。 いもや店主」(原文ママ)
これは悲報すぎる…
神田神保町の天丼専門店いもや(2丁目天丼店)が3/31に閉店。約60年の歴史に幕だって…ううう#神保町 pic.twitter.com/hrrXz8mFo8— 1UP情報局 (@1up_news) 2018年2月26日
近隣の飲食店の主人によれば「オーナーもご高齢なので、色々営業を管理するのも大変だったんだと思います」とのこと。「いもや」には九段下や東神田に暖簾分けしたお店が残っているが、本店といわれるこの二店舗が同時に閉店することは、神保町に通う人のみならず、学生時代に通ったいもやファンにも衝撃だった。第一報となったツイートは約8000RTが入り、「悲しすぎる」「最後にもう一回あの味を食べておきたい」というコメントが相次いだ。
特徴はその品書きの少なさ。
天丼「いもや」では「天丼」(650円)と「えび天丼」(850円、ともに味噌汁付き)の二種類しかメインメニューはなく、とんかつ「いもや」も同様に「とんかつ定食」(800円)と「ひれかつ定食」(1000円、ともに味噌汁付き)の二種類しかない。そのほか白菜漬「おしんこ」(100円)などのサイドメニューもあるが、客の大半はこのいずれかの選択肢を迫られる。
とんかつ「いもや」では、店に入る否や「とんかつですか?」とカウンターの店員に聞かれるスタイルで、初めて入った人は戸惑ってしまう。「はい」といえばとんかつ定食、ここで「ひれかつで!」といえればひれかつ定食が調理される。そんな効率化された注文システムで、常連か初見客かは一目瞭然の光景になっていた。
1up情報局記者も最後に味を楽しもうとランチタイムにお店に向かったが、閉店発表後は常に20~30人が並んでいる状況で、30日は17時時点で約50人の行列を形成していた。天丼「いもや」の近くには、人気店の焼肉店、やきそば専門店があり、ここは常時行列ができる人気店だが、そこにはさまれたいもやまで行列ができてしまったため、通りがかった人は「なんぜこんなに行列店が並んでいるんだ」と不思議そうに眺めていた。昨日の行列は19時過ぎまで絶えず、行列の最後尾はお店の脇にある路地まで続いたが、あまりの人混みのためか警察官が定期的にパトロールし、列を監視していた。