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【イベント】家電やガジェットアイテムを「SF作品」に生まれ変わらせる注目の造形作家・池内啓人氏の個展が大盛況で閉幕

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10月1日(日)東京・中野「SF gallery.」で開催されていた造形作家・池内啓人(ひろと)氏の個展「READY MADE」(レディメイド)が閉幕した。約2週間の展示だったが、いま注目のクリエーター・池内氏の作品を見ようと会場には連日多くの来場者が訪れていた。
DSC_7383今回の個展「READY MADE」は「既製品」を意味する言葉。これまでの池内氏が作り上げてきた作品を代弁するキーワードだ。池内氏は、既製品同士を組み合わせて、加工し、彩色し、一つの作品をつくるクリエーターなのだ。
近未来感があるヘッドセットは、既製品のヘッドフォンと防塵マスクを用意するところから作業が始まっている。一見、スペースシャトル打ち上げ基地に見える作品は、使わなくなった天体望遠鏡を利用している。そう、完全オリジナルに見えるこれらの作品だが、すべてのベースには既製品があるのだ。

まるでスペースシャトルの打ち上げ基地

まるでスペースシャトルの打ち上げ基地


実際は天体望遠鏡を再利用したもの

実際は天体望遠鏡を再利用したものだ


作品のテーマは「レトロフューチャー」。一言でいえば「昔の人が考えていた未来」ということだろうか。サイバー感、SF感があるけれど、どことなくアナログな一面も残っているリアルさがある。決してビビットで派手なものではなく、くすんでいて、無光沢、寂しさすら感じる作風は実にリアリティがある。
こちらも元はロボット掃除機だった。「ホバークラフトに見えると思ったんです」と池内氏

こちらも元はロボット掃除機だった。「ホバークラフトに見えると思ったんです」と池内氏


むやみに商品を購入して作品に仕上げ続けているわけではない。当然新品もあるが、マウス、USBメモリー、ポラロイドカメラ、ピアニカなど、大半は「不要になった」「時代遅れ」の電子機器、家電などがベースになっている。そこに、プラモデルのパーツを付けたり、別カラーに彩色したりして、独特の世界観がある作品を作り上げている。
戦車に見えるが、ベースはPC用「マウス」

戦車に見えるが、ベースはPC用「マウス」。池内氏の記念すべき処女作だ


「USBメモリ」も使用可能

「USBメモリ」はまだ使用可能


「ポラロイド」

こちらもカメラとして使用できる「ポラロイドカメラ」。


「ピアニカ」

「ピアニカ」はどことなく攻撃的なデザインに。演奏もできる


「ある時、『池内さんの作品は現代版の生け花みたいだね。もともとそこに存在していた物を違う様に見せ、作品にしている』と感想を伝えてくれた方がいらっしゃいました。私もあぁ、なるほど、と思ったのですが、生け花と違うのは、すでに使用されなくなった物(不要品)を作品のテーマにすることが多いことですかね」(池内氏)
「ヘッドセット」。ヘッドフォンとマスク、ブルートゥースの受信機がつく

「ヘッドセット」。ヘッドフォンとマスク、ブルートゥースの受信機で構成 ■着用モデル:冷凍とれこさん(@mopepeko


もちろん使用できることを念頭においているため、軽量化やサイズ調整などの機能化も忘れていない

もちろん使用できることを念頭においているため、軽量化やサイズ調整などの機能化も忘れていない


たしかにスキーブーツ、古いPCのハード、旧式のマウスなど、通常なら捨ててしまうものを、池内氏は作品として蘇らせている。そこが凄い。ちなみに作品に付け加えるパーツは、秋葉原のプラモショップなどで買っているそうだ。「イエサブとかでプラモのパーツを眺めていると、作品の制作意欲が高まるんです。ああ、このパーツとこの家電は合いそうだなぁ、とか(笑)」(池内氏)。

とにかく池内氏の作品には驚かされる物ばかりだが、池内さんは根っからのオタク。「いまでもアキバはよくいく場所。学生時代は『To Heart』とか『ファイブスター物語』とかが大好きでした。あとはスターウォーズとか。自分の作品にもそんな大好きな漫画やアニメを見て感化された部分がでているかもしれませんね」と話す。
海上にある何かしらの基地にみえるこの作品。上部にある黒い箱は「家庭用プラネタリウム」を流用していて、室内を照射できる

海上にある何かしらの基地にみえるこの作品。上部にある黒い箱は「家庭用プラネタリウム」を流用していて、室内を照射できる


土台を見ると、デスクトップPCのフレーム…!!

土台を見ると、デスクトップPCのフレーム…!!


2015年以降はヘッドフォンをベースにしたヘッドセットの作品づくりに重きを置いている。こちらもどことなくレトロで未来感がある「レトロフューチャー」がテーマ。
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不要になったデジカメのパーツを流用した作品

不要になったデジカメのパーツを流用した作品


ウェブカメラを搭載している

よく見るとウェブカメラを搭載している


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残念ながら個展は終了してしまったが、こんなに時間をかけて一点一点を凝視せざる得ない作品展は過去なかった。次回開催は未定だが、気になる方は池内氏のTwitterを追いかけて欲しい。
 

クリエーター紹介

池内啓人(いけうち・ひろと)
1990年生まれ、多摩美術大学卒。ジオラマ造形作家。
公式HP http://ikeuchi-products.tumblr.com/
公式Twitter @ik_products
 

会場紹介DSC_7363

東京・中野「SF DEPT.」

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