2016年7月7日(木)より配信が始まったアニメ『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』。『Kanon』『AIR』『CLANNAD』など多くの感動作を手がけたKeyのゲームが原作であり、ダウンロード販売が開始されてから実に12年もの時を経てアニメ化されることとなった。
そんな配信版アニメ『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』の舞台挨拶&特別先行上映会が7月1日(金)、コニカミノルタプラネタリウム“天空”in 東京スカイツリータウンで行われた。プラネタリウムでアニメの上映会が行われるのは、おそらく史上初。作品内容に沿ったオシャレな演出に、ファンから大きな期待が寄せられていた。
上映会前に行われた舞台挨拶では、ほしのゆめみ役のすずきけいこさん、屑屋役の小野大輔さん、監督の津田尚克さんが登壇。本記事では、3人による舞台挨拶の様子をお届けする。
運命と縁を繋ぐ作品
多くの拍手に包まれて登場したすずきけいこさん、小野大輔さん、津田尚克監督の3人。まずは「12年前の作品が、今アニメ化されることについて」というトークテーマでイベントはスタートした。当時はまだ役者として何者でもなかったと語る小野さんは、時間を経て屑屋というキャラクターを再び演じることができ、さらに美麗な映像のアニメになることを「まるでご褒美」だと発言。すずきさんは「なぜ今なのかな」と疑問に思っていたが、配信版のアニメ全5話を見て「今でしかできないこともあるんだな」と深く感じたという。それは演技も、映像も、さらには12年前にはなかったスカイツリータウン内のプラネタリウムでの上映会も含まれる。今だからこそこのアニメ化が叶ったのだと語ると、小野さん、津田監督も同じ思いを抱いていたようで、感慨深く頷いていた。
また、3人はこの作品に運命的なものを感じているらしく、「何かをやろうとすると、誰かがどこかと繋がってる。この企画を“目に見えない力”が前に進めてくれる」という。
「Key作品は語り継いでいくもの」
『リトルバスターズ!』三枝葉留佳役、『Rewrite』中津静流役を演じているすずきさん、『AIR』国崎往人役、『Charlotte』乙坂隼翼役を演じている小野さん、もともとKey作品に深い思い入れがある津田監督。次は各人に縁の深い「Key作品とは」というのトークテーマに移った。
自身の芸歴のほどんどをKey作品が占めると語ったすずきさんは、「作品と一緒に歩んできた」ことを改めてこの場で実感したという。また、Key作品ではいつも誰かから思いを受け取って見送る側の役を演じてきた小野さんは、「Key作品は語り継いでいくもの。次の世代に渡していくもの」だと語った。さらに津田監督は「今後の人生において、Key作品で体験したことは忘れないし、誰かと共有したい。ずっと心の中にあり続けるもの」と話し、「CLANNADは人生という言葉じゃないけど、Keyは人生的だなと思う」と熱い思いを明かしていた。
最後のテーマは「配信版全5話を見た感想」。ゲーム版とは異なり、ゆめみがより人間らしくなったと語るすずきさん。じつは身長も変わっており、それらの意味や監督がやりたかったことは視聴して初めて分かったという。また、作品で重要な意味を持つ“雨”の表現が好きだと小野さんが語ると、津田監督も「あんなにきれいになるとは思わなかった」とスタッフの愛溢れるこだわりを紹介する場面も。
舞台挨拶のラストには各登壇者が以下のメッセージを送った。
すずきけいこ「これからもplanetarianの世界は今年どんどん続いていきますので、どうぞお楽しみに」
小野大輔「一言ではなかなか言い表せないですが、あえて言うならば“俺たちの好きなKeyがここにある”。ぜひそれを見届けてください」
津田尚克「星が見えなくなった世界と本物の星ではないプラネタリウム、本物の人ではないロボットのゆめみと人間の屑屋といった対比。人間関係と自分の好きなものとの関係を掘り下げていきたいと思いながら作りました。そういったことを考えながら見て頂けると、より楽しめるんじゃないかなと思います。何卒よろしくお願い致します」
この後、会場では1~3話が映し出され、盛況のうちにイベントは幕を閉じた。
すでに第1話の配信スタートした『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』。第5話まで順に公開となり、9月3日(土)に上映開始となる劇場版『planetarian~星の人~』で完結する。心に深く残るKeyの名作を、ぜひアニメで見てみよう。
作品概要
配信版アニメ『planetarian~ちいさなほしのゆめ~』
7月7日(木)よりニコニコ動画ほか動画配信サイトにて配信開始
劇場版アニメ『planetarian~星の人~』
9月3日(土)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次公開
原作:Key「planetarian~ちいさなほしのゆめ~」
監督:津田尚克
脚本:ヤスカワショウゴ・津田尚克
シリーズディレクター:中山勝一・町谷俊輔
原作協力:Key/ビジュアルアーツ
アニメーション制作:david production
製作:planetarian project
CAST:ほしのゆめみ/すずきけいこ、屑屋/小野大輔 ほか
STORY:
世界大戦後の降りやまない雨の世界。細菌兵器の影響で、人々に見捨てられた最も危険な街【封印都市】。その、デパートのプラネタリウムに、ロボットの少女がいた。彼女の名前は“ほしのゆめみ”。彼女はプラネタリウムの解説員で、1年間にたった7日間しか稼働することができない壊れかけのロボットだった。そこで彼女は、30年間いつか誰かが訪れることを信じて、1人誰もいないこの世界で待ち続けた。そして、30年目の目覚めたその日に、彼女の前に1人の男が現れた。
「おめでとうございますっ! あなたはちょうど、250万人目のお客様です!」
突如現れたロボットに警戒する男・“屑屋”。貴重物資を回収することを生業とする彼は、【封印都市】に潜入中、都市を徘徊する戦闘機械(メンシェン・イェーガー)の襲撃にあい、このプラネタリウムに迷い込んだのだった。
「プラネタリウムはいかがでしょう。どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき……。満天の星々がみなさまをお待ちしています」
星すら見えなくなった滅びゆくこの世界で、彼はそこで何を見るのか。1年で7日間しか稼働できないロボットの少女が、目覚めたまさにその日に訪れた偶然。そこで起こった奇跡とは――。
公式サイト:http://planetarian-project.com/