神田明神から約300m、本郷方面に進むと四川料理の人気店「栄児(ろんあーる)家庭料理 本郷店」がある。ここは都内3店舗ある中の本店で、名物は激辛の汁なし担々麺と麻婆豆腐、さらにランチは水餃子が無料で食べ放題。秋葉原駅から徒歩15分ではあるが、歩いていく価値アリのお店だ。
比類なき「山椒」へのこだわり
秋葉原には“旨辛”料理で高い人気を誇る「陳家私菜(ちんかしさい)」や「雲林坊」など多数の店が散在しているが、ここ「英児」は四川料理がメインだが素材は本場のものに限っていて、四川省出身のオーナー自ら四川に出向き、新鮮な山椒や唐辛子を仕入れ、本場の四川料理を日本で提供することにこだわる。
実際に現地で調達した「花椒」、「青山椒」は、店の職人たちが手作業で枝を切り、殻をはずし、時間をかけて下ごしらえする。さらにその唐辛子と山椒をこの店ではふんだんに使うため、どの料理も口にいれると辛みと痺れが富んでいる。
店長さんいわく「山椒にもシーズンがあるんです。夏に収穫をするので、この時期の山椒は香りも辛さも痺れも一番効いているんです」という。山椒にシーズンがあることを初めて知った。「なので収穫前のちょうど梅雨時は香りも辛さも少し落ちますね」と収穫から1年近くも経つと辛さは落ちるという。まさに今が旬! 辛い物好きにはこの時期の新山椒が最も辛いので是非チャレンジしたいところだ。
そこで今回は編集部3人で訪問したが、メニューから「担々麺」「汁なし担々麺」「麻婆麺」をチョイス。辛さのレベルを聞かれ、普通でも汗の出る辛さというから記者は1辛の担々麺に。他の編集部員も控えめにはせずレベル普通にチャレンジ。
絶品「汁無し担々麺」
ランチは、担々麺、麻婆麺が人気という。
なかでも痺れと辛さを求める人には、ここの常連さんでもある秋元康さんも大好き「汁無し担々麺」をおすすめする。麺を混ぜると、お皿の底には山椒と唐辛子が地層のように体積している。一口箸を進めれば、まるで火がついたかのように口内が燃え上がる。
1辛を頼んでしまった記者。吹き出る汗をふきながら、麺を啜る。記者はココイチの5辛を何とか完食できるレベルなのだが、辛い、汗が吹き出る。しかし辛さの奥には旨味があり、「これはただ激辛なだけではない」と痛感。箸を休めながら何とか完食。
普通を頼んだ編集部2人、麻婆麺の方は少々の辛さに慣れているが苦戦、担々麺の方は今度1辛いけるかな、という感想。汁ありの麺類は汁がある分、辛さも中和されるという。汁なしの方は、この新山椒の季節、まずは普通から試された方が無難だ。
ちなみにランチメニューは、麻婆豆腐などの炒め物など20種類ほどありどれも900円〜1000円。もやしのおひたしが付き、さらに水餃子はおかわり自由。麺料理を食べ終わった後の辛いスープに餃子を浮かべてさらに楽しむ常連さんも。
常連さんといえば、前出のAKBグループの仕掛人・秋元康さん他、『課長島耕作』作者の弘兼憲史さんなど、舌の肥えた美食家たちも「ここでしか味わえない辛さ」を求めにやって来る。
店員さんによると、秋元さんは風邪をひきそうになった時も、ここに来て身体を温めているという。
ところで何故四川料理がこれほどまで辛いのかを聞くと「四川省の盆地の地域は曇り空が多くて湿気があり雨が多いので、新陳代謝を促すために汗が出る辛い料理が多いんです」と、この辛さは地域で健康に生きるために誕生したものという。
最近、運動不足な人も、辛さにチャレンジしたい人も、ここで汗をかいてみるのはいかがだろうか。
店舗情報
栄児 家庭料理 本郷店 (ロンアール カテイリョウリ)
■住所 東京都文京区本郷3-15-1
■電話 03-5800-5111
■営業時間 11:30~14:30LO、17:00~21:45LO
■定休日 日曜日