2015年4月9日~11日の3日間、ドバイワールドトレードセンターにて、映画・漫画・ゲーム・アニメなどポップカルチャーをテーマにした祭典「ミドルイースト・フィルム&コミコン」が開催された。本イベントは、テレビドラマ、映画、テレビゲーム、カードゲーム、コミックス、グラフィックノベル、SF、ファンタジー、アニメーション、玩具など、世界のポップカルチャーを広くカバーした、中東唯一の総合エンターテイメント。イスラム教国でありながら自由な作品展開が見られる非常に文化的なイベントで、現地記者によると「日本の“東京ゲームショウ“や“コミックマーケット”を合わせたようなイメージ」とのこと。
日本文化がドバイに浸透!?
もともと2011年にアブダビで開催を予定していたが、中東情勢の緊迫化に伴い、度々延期となっていた「ミドルイースト フィルム&コミコン」。今回は開催地を中東のなかでも自由な国として知られるドバイに替えることで、実現に至ったようだ。
素肌を晒さない、偶像崇拝はしない等の宗教上の戒律は見られず、日本の作品も十分受け入れてもらえる体制は整っている。また、開催時間を22時までにすることによって仕事終わりの方や、学校終わりの方の参加もしやすいようにしており、17時には人の波が出来るほどの参加者で賑わっていた。
人気のゲームエリアでは、日本でも最近リリースした『Blood born』の世界観をイメージした試遊スペースの設置や、オンラインゲームの大会などを実施。時おり歓声が響き渡るほど盛り上がっていた。また、カードゲームも盛んで、時間を区切って『マジック・ザ・ギャザリング』や『遊戯王』の大会が行われた。レトロゲームコーナーでは、「スーパーファミコン」や「Nitendo64」の懐かしいタイトルが並んでおり、子どもと一緒にプレイする父親の姿も見受けられた。
リアルパックマンやバンジージャンプなどアトラクションもあり子どもから大人まで幅広く楽しめる。野外ではライブ会場やフードコートも併設されており、将来的には水を使ったアトラクションも増えるかもしれない。個人的にスターウォーズ水鉄砲大会などが実現できたら面白そうだ。
ゲームエリアの様子
コスプレエリアの様子
会場、出展ブースの様子
出展社の傾向をみるとほとんどのブースに一体は造形物が置かれている。一目で分かる物がこの国では訴求しやすいようだ。スポーツカーやヘルメット、武器など作品の中で登場するものをリアルに再現することによって参加者が世界観を楽しめることを意識している。日本のフィギュアメーカーも多数展示されており、注目度が高い。
日本出展社「紀伊國屋書店」インタビュー
日本の出展企業から、紀伊國屋書店さんにインタビュー。ヒットしている日本の漫画作品やコミコンについてなどについて聞いてみた。
■日本の作品について
日本からの販売のスピードが最も早いのは『進撃の巨人』とのこと。現在コミックスは16巻まで刊行されているが既に14巻まで翻訳が完了おり、世界中に輸出されている。通常、日本のコミックスが世界へ輸出される際は、5巻分間が空くのですが最新刊に追いつく勢いで販売している。アニメの評判が非常に良かったためコミックスの売れ行きが好調だと語る出展担当者は語った。
■「コミコン」について
コミコンの主催者は海賊版の批判、著作権を守る意識が高いため版権を有する企業は安心して出展ができている。「kinokuniya」ブースでは日本作品のイラスト集、コミックス等日本で正式に販売されている商品を求めたお客様で期間中常に賑わいを見せている。
■文化について
アラブの中でもドバイは日本の作品に対してそこまで規制が激しくないので販売ができる。日本語がわからない方向けにイラスト集が非常に多いのはそのためだ。同じイスラム教圏内でもカタールやお隣の国アブダビで販売となると日本語でも厳しいものが発生してくる。イスラム教徒の憩いの場としてドバイのコミコンはユーザーに非常に人気がある。ドバイだけでなく中東の国々は商品が欲しくても買えない人々が溢れているため、今後の「紀伊國屋」としての今後の課題は「いかに日本のコンテンツを受け入れてもらえるか」を軸にアプローチしていくという。
担当責任者:高梨純一(But株式会社)
ライター:岡和田一輝
イベント概要
Middle East Film&Comic Con
■期間:2015年4月9日(金)~4月11日(日)
■時間:12:00~22:00
■場所:ドバイワールドトレードセンター
■チケット価格:
ViP PASS 500DH(約15000円)
3DAY PASS 250DH(約7500円)
2DAY PASS 180DH(約5400円)
1DAY PASS 100DH(約3000円)
■URL:http://www.mefcc.com/