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避難所で自分は何をすべきか──避難所シミュレーションボードゲーム「避難所HUG」の価値

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2007年、静岡県が「避難所HUG」という防災ゲームを開発した。プレイヤーは、避難所を運営するスタッフとなり、リアルタイムに避難所を訪れる多くの被災者たちをまとめ、快適な避難所の環境をつくるといった主旨のゲーム。震災が起きる直前の3月、東京・秋葉原にある不動産仲介・コンサルを行う会社「総研」にそのゲームがあると知り、実際に体験させてもらっていた。

試されるプレイヤーの「判断能力」

1up_news_DSC_9482「避難所HUG」のHUGは、「避難所、運営、ゲーム」の頭文字をとったもので、英語の抱きしめる(ハグ)とのダブルミーニングになっている。一回のプレイはおよそ90~120分。人数制限はないが、ゲームキーパー(進行係、ゲームのリピーターや避難所運営経験者)が1人、プレイヤーは10人程度が良いとされている。ゲームの進行をざっくり説明すると以下の流れになる。1up_news_DSC_9478

1)避難所を設営する学校の校舎の間取り図、体育館間取り図を用意

これがゲームのフィールドになる。画像データは商品のキットにはいっており、A3サイズで出力しセロテープなどでつなげておく。

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2)付箋やメモなどを準備

ゲーム中で覚えておくべきイベントなどをメモする用に白紙や、筆記用具などをそろえておく。

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3)「アイスブレイキングシート」を記入し、読み合わせ

アイスブレイキングシートは、その名の通り「氷を壊す」、つまりプレイヤー同士を打ち解けさせる自己紹介シートだ。これにより、「このプレイヤーはリーダーシップがある」「この人は気転がききそうだ」などの長所がわかる。

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4)ゲームキーパーが、絶え間なくカードを読み上げる

約5~6秒に1枚のペースでカードが読み上げられる。カードは250枚あり、その大半が「被災者」のカード。避難して来た人の名前、プロフィールが記載されている。「糖尿病で薬を希望している」「出血している」などの情報も書いてある。また、時折「イベントカード」も混入されている。イベントカードには「仮設トイレが届いた」「明日ヘリコプターが物資を持って来る」「教員室の使用が不能になる」など、避難所で起こりえるハプニングや報告が書かれている。

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5)カードをフィールドに置いていく

読み上げられたカードの内容に合わせて、プレイヤーはカードをフィールドにおいていく。「この名字の人は先に避難所に来ている。家族なので近くにスペースをとってあげよう」「女性単身者が多いので、女性だけのスペースをつくったほうがいいのではないか」「ペットを連れて来た人がいるので、入り口付近に集めておいたほうがいい」など、プレイヤー同士で相談し、カードを置いていく。

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6)プレイヤー同士で随時協議していく

中盤を過ぎると、避難所として使用していた体育館が人でいっぱいになり、「この配置は間違えだったか」等、少しずつ問題点が見え始める。また、うまく被災者たちを整理していても、次々読み上げられる被災者のカード、イベントカードに、収集がつかなくなることもある。「読み上げるのをちょっと待って!」とは言えないので、瞬時に判断し、プレイヤー同士で協議することが必要だ。

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7)すべてのカードに対応してゲーム終了

すべてのカードを読み終えると、ゲームは終了。このゲームに分かりやすいクリアはない。ゲームキーパーが、避難所の全貌をチェックし、うまく運営できていたか、また混乱は生じていないか、無理はないか、などを査定する。

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8)評価、考察、ディスカッション

ゲームキーパーの評価を聞き、プレイヤー同士で事後考察のディスカッションを行う。「あの家族が、こんなにバラバラになって来るとは思わなかった」「出入り口付近は物資の搬入が多く、ここに人を集めたのは失敗だった」「テントで生活したいと言っていた被災者がいたが、結局はそこがトラブルの種になった。しっかり断ることを判断すべきだった」など、各プレイヤーが思った事をあげてもらい、避難所運営の難しさを話し合う。

以上である。

プレイしてみてわかったこと

実際に1UPの社員でゲームをプレイしてみると、社内でもリーダーシップをとっている編集長Sが「ここにこうしたらどうだろう」という声をみんなにかけ、大きな方針を決めていた。また、編集部デスクNは、付箋とメモを片手に、覚えておかなくては行けない事(たとえば「明日テレビが搬入されるので、場所を確保されたし」といったイベントカード)をメモし、一つの紙にまとめメンバーを補佐。営業部Kは、「この名字はどこかで……あ、ここに他のご家族がいます。横にスペースをつくりましょう」と細かい点をしっかりフォローしていた。女性ユーザーとして参加してくれた「総研」のスタッフさんは、「単身の女性と、男性が横並びなのは心配。きっと着替えなどで気にするはず」と現場を想定してカードを調整してくれていた。

ゲームキーパーの評価は「初めてにしては上出来。普通はここまで統制がとれない。自己紹介でみなさんの仕事内容や趣味、おしゃべりか寡黙な人か、わかっていたので、自然と役割分担ができていた。正解がないゲームだが、いい結果になっている」とのことだった。このゲームを秋葉原で広めたいと考える総研代表の小林さんは「過去見て来たゲームでは、プレイヤーがオーバーフローを起こし悪い結果になったこともあった。イベントカードは、想定外の無理難題も多い。例えば『取材に入りたいから、人を紹介して欲しい』など。避難所がパニックになっている中、これはどうしていいかわからない。こういう時は『断る』という判断を下してもいいのです。そんな柔軟な判断と、最後の反省会。一番重要なのはここですね。ここでもし自分が現地にいたら、という視点になれる」と話す。1up_news_DSC_9461

「秋葉原で浸透させたい」

総研取締役の小林幸生さんは福島県出身。東日本大震災で実家が被災した。以降、被災地復興のために、数多くのボランティア活動をはじめ、福島復興支援センター代表、被災地の情報収集・活用・発信を行う団体「IT  DART」の幹事もつとめている人だ。いまでも避難訓練や会合があれば出席し、防災活動に心血を注いでいる。「現地にいると、衣料品や食料、健康、事故など、ゲーム以上のことが数多く出て来ます。しかし、何事にも冷静に、というメンタルだけでもきっと役立つはず。ゲームを通して、もし被災した時の心の準備ができれば。ゲームを触れたい方、ゲームのトレーニングを希望される方はご協力します」と話す。ゲームを見てみたい方は総研まで(記事最下段参照)。

商品は、静岡県が販売しており6,000円。カードは4セットはいっていて、4グループ(約40名の同時プレイ)が可能だ。それぞれのグループで違う結果になることも、勉強になるだろう。キットにはCD-ROMが入っていて、架空の学校の間取り図のデータなどが入っている。出力してゲームに使うのだが、実際の校舎の間取りをつくって、プリントすればさらに実用度が高まる。1up_news_DSC_9485

商品概要

避難所HUG

公式HP https://www.pref.shizuoka.jp/bousai/seibu/hug/index.html

販売元:みんなのお店・わ(NPO法人静岡県作業所連合会・わ店舗)

電話:054-272-3730  FAX:054-272-3731

E-mail:minnanoomise@aurora.ocn.ne.jp

【お問い合わせ先】

静岡県危機管理部危機情報課

電話番号:054-221-2644

ファックス番号:054-221-3252

メール:boujou@pref.shizuoka.lg.jp

取材協力

株式会社総研

不動産仲介や、風水、税理士と連動した新店舗進出のコンサルなども行う。

電話:03-5244-4091  メール:info@soukn.com

住所:東京都千代田区外神田3-16-14-202